ベイトリールで狭い隙間にルアーをキャストして釣る。
バス釣りの面白いところであり、カッコいいところでもあります。
ただ、このベイトリール、初心者にはどうしても難しく感じるのです。
遠心?マグネット?ブレーキの種類は何がいいんだ?
買ったはいいけど、ブレーキセッティングがわからなくて、バックラッシュの嵐で釣りにならない。
バックラッシュしないようにブレーキをキツキツにしたら飛距離が出ない。
こんな悩みも多いもの。
今回は、そんなベイトリールの悩みを解決すべく、ベイトリールの使い方とブレーキセッティングの方法を徹底解説していきます。
リールの種類
リールには、大きく分けて、今回紹介するベイトリールとは別にスピニングリールの2種類があります。
それぞれのリールを使うメリットがあるので、紹介します。
ベイトリールのメリット
手返しがいい
スピニングリールでキャストするときは、
1.指にラインを引っ掛ける
2.ベールを倒す
3.キャストする
という3つの動作が必要です。
対するベイトリールは、
1.クラッチを切る
2.キャストする
の2動作でキャストできます。
ルアーフィッシングは、餌釣りのように魚を寄せる釣りではなく、魚を探す(誘う)釣りです。
なので、理屈で言えば、10回キャストするよりも100回キャストし方が、魚に出会える確率は上がります。
100回キャストするのに掛かる時間が短ければ、早く魚に出会えます。
つまり、1回のキャストから次のキャストまでの動作が少ないベイトリールは、より多く魚に出会えるはずなのです。
所謂、手返しがいいと言われるのです。
マシンガンキャストで有名な並木敏成さんのキャストは、まさしく手返しの究極完成形です。
ルアーをピックアップしてから、次のキャストまで全く無駄がなく、異常に速いです。
しかも、ピンポイントで正確なキャスト。
もちろん、ただ手返しよくいっぱい投げれば釣れるかと言われるとそうでもありません。
どこに?どのタイミングで?どのルアーを?キャストするのかが重要です。
キャスト精度が高い
ベイトリールは、サミングと言って、キャスト後、着水まで、クラッチを切った親指の先でスプールに軽く触れてライン放出のコントールをします。
これによって、ルアーを落としたいところに調整したり、バックラッシュの軽減や着水音を小さくできるのです。
スピニングリールも人差し指でサミング(フェザリング)をして、ある程度コントールはできますすが、ベイトリールと比べて正確なキャストは難しくなります。
巻き上げ力が強い
ベイトリールは、スピニングリールに比べて、メインギアが大きいので、巻き上げ力が強いです。
実際、バス釣りに限らず、トローリングなどで超大型を釣るリールは、ベイトリールです。
スピニングリールのメリット
バックラッシュがない
スピニングリールは、ルアーの慣性力で飛ばすので、スプールが回転しません。
なので、ベイトリールの天敵、バックラッシュが発生しません。
小さいルアーがキャストできる
ベイトリールではバックラッシュしてしまって、キャストが難しい、3g程度のルアーもスピニングリールならストレスなく、キャストできます。
最近では、ベイトフィネスの登場で、軽量ルアーもベイトでキャストできるようになりましたが、ストレスはスピニングの方が少ないです。
滑らかで細かい設定ができるドラグ
ドラグ性能はスピニングの圧勝と言ってもいいくらい違います。
最大ドラグ力もスピニングリールの方が強く、何より、ドラグがスムーズなので、細いラインを使用することもできます。
管理釣り場で、3LB前後のラインを使用する時は、スピニングに分があります。
ブレーキの種類と設定
ベイトリール初心者が必ず悩むブレーキ設定。
どこをどう弄ったらブレーキがどれくらい掛かるのか?最初は、わからないものです。
メーカー、機種によって、採用しているブレーキシステムが違うので、全てを把握するのは難しいですが、基本を押さえておくと、どのリールでも対応できます。
バックラッシュとは?
そもそも、バックラッシュとはなにか?。
ベイトリールは、スプールが回転して、ラインを放出します。
ラインの放出スピードがスプールの回転速度以上であればバックラッシュは起こりません。
しかし、投げたルアーは失速しますし、着水したら止まります。
つまり、ラインの放出スピードがスプールの回転速度より遅くなると、スプールが回転してラインはスプールから離れていくのに、ガイドの方に放出されず、ラインがぐちゃぐちゃに絡まってしまいます。
これがバックラッシュです。
スプールの回転とラインの放出を適切なスピードに調整する為にブレーキ設定やサミングする理由です。
サミング
サミングは、クラッチを切った親指の先でスプールを軽く触ってスプール回転を調整し、バックラッシュしないようにしたり、着水音を小さくする効果があります。
サミングを覚えるには、まず、その場でクラッチを切って、ルアーを足元に落とします。
何もせずに着水すれば、当然バックラッシュします。
次に同じく、その場でクラッチを切って、足元にルアーを落としますが、この時バックラッシュしないように親指で軽く押さえながら、落とします。
上手く行けば、バックラッシュしません。
これと同じことをキャスティングですればOKです。
ただし、最近のベイトリールは本当に性能がいいので、ちゃんとブレーキ設定してあげれば、ほぼノーサミングでもバックラッシュしません。
もちろん着水するときは、サミングが必要です。
バックラッシュの治し方
バックラッシュしてしまったら、まず、軽くスプールを抑えながら、ラインを引っ張って、出せるだけ、出しましょう。
軽いものならこれで治ります。
少し酷いバックラッシュの場合は、引っ張ったラインが引っかかって止まります。
止まったら、スプールを軽く押さえながら、ハンドルを数回巻きます。
巻いたら、また、ラインを引っかかるまで、出します。
これで大抵のバックラッシュは治ります。
サミング、バックラッシュの治し方については、村田基さんの動画がわかりやすいので、是非見てみてください。
メカニカルブレーキ
ベイトリールのブレーキには、メカニカルブレーキと遠心ブレーキやマグネットブレーキなど、所謂、「ブレーキシステム」があります。
ほとんどのリールは、メカニカルブレーキが、ハンドル側についていて、ブレーキノブ(キャップ)を締める、緩めるで調整します。
メカニカルブレーキを締めるとスプール自体を反対側(基本的にブレーキシステム側)に物理的に押し付け回転を抑えてブレーキを掛けます。
車で例えると、その車の最高速度(最高飛距離)がここで決まります。
ちなみに「ブレーキシステム」を車で例えるなら、コーナリングする時に踏むブレーキです。
それなら、飛距離を出したければ、メカニカルブレーキをユルユルにすればいいのか?
これは、半分正解で、半分間違いです。
確かにメカニカルをユルユルにすれば、最高速度(飛距離)は速くなりますが、それは、ドラッグカーレースのようなものです。
直線だけのレースなら、最強かもしれませんが、ヘアピンカーブやS字カーブがあるサーキットでは、使い物になりません。
目指すのは、ドラッグカーではなく、最高速度、加速、クイックなブレーキの全てが優れた、F1カーです。
メカニカルブレーキの設定
ではどれくらい、メカニカルブレーキを締めればいいのか?
それは、ゼロポジションに設定すればいいのです。
まず、メカニカルブレーキをユルユルにします。
この時、リールのクラッチを切って、左右に親指をずらすと、スプールも「カタッカタッ」とずれます。
この状態のまま、メカニカルブレーキを締めていき、左右の「カタッカタッ」がなくなった位置、これがゼロポジションです。
このゼロポジションを基準にもっと飛距離を出したければ、緩めて、どうしてもバックラッシュしてしまうなら、締めるという調整をするのがおススメです。
4種類のブレーキシステム
ブレーキシステムには、主に4つの種類があります。
遠心ブレーキ
マグネットブレーキ
ハイブリッド
DC(電子制御)
遠心ブレーキ
主にシマノで採用されているブレーキシステムで、スプールが回転したときにその遠心力でブレーキシューという部品がスプールに最適なブレーキを掛ける仕組みです。
遠心力は、回転が速いほど大きくなるので、初速ではしっかりブレーキが掛かり、スプールの回転が落ちてくるとともに、ブレーキも弱くなります。
飛距離やキャスト後、後半の伸びに定評があるブレーキシステムです。
遠心ブレーキの設定方法
現在、シマノでメインで採用されている、「SVSインフィティ」というブレーキシステムは、中側と外側でブレーキを設定します。
中側は、出荷時にブレーキシューが4つONになっているので、そのまま使ってください。
外側は、ダイヤル式で、6段階ありますが、最初は、4からスタートするのをおススメします。
もっと飛距離が欲しい時は、3→2→1と弱めて行きます。
逆にバックラッシュしてしまうというときは、4→5→6と強めていけば、自分の最適なブレーキ設定が見つかります。
飛距離 |
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バックラッシュのしにくさ |
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設定のしやすさ |
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備考 | 飛距離重視、ピッチングを多用するスタイルには、遠心ブレーキがおすすめです。 基本的に外部ダイヤルのみで設定できますが、細かな設定をしようとすると内部を開ける必要があるので、その場その場で、細かくブレーキ設定を変更するタイプの人には少しストレスかもしません。 |
マグネットブレーキ
主にダイワで採用されているブレーキシステムで、磁力を利用したブレーキシステムです。
常に安定して、ブレーキが掛かるので、バックラッシュがしにくくストレスが少ないブレーキです。
常に安定してブレーキが掛かる分、遠心ブレーキと比較すると、やや飛距離が落ちたり、キャスト後半やピッチングでの伸びが弱いといった傾向があります。
ただし、これはブレーキやタックルセッティング、キャスティングフォームによって異なるので、一概には言えません。
マグネットブレーキの設定方法
機種によってブレーキ設定のダイヤル数は異なりますが、10段階のモデルであれば、真ん中の5からスタートして、飛距離が欲しければ下げていき、バックラッシュするようなら、あげていきます。
設定の考え方は、遠心ブレーキと同じですが、マグネットブレーキの良いところは、全て外部のダイヤルで設定が完結するので、その部分でもストレスが少ないところです。
飛距離 |
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バックラッシュのしにくさ |
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設定のしやすさ |
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備考 | バックラッシュと設定のストレスをなくしたい人で、大遠投が不要なフィールドメインの人におすすめです。 ブレーキ設定が、外部ダイヤルだけで全て完結するので、ストレスも少ないです。 ピッチングを多用する人は、後半の伸びが少し気になるかもしれません。 |
ハイブリッド
遠心ブレーキとマグネットブレーキを両方採用しているブレーキシステムです。
主にアブガルシアが採用しているブレーキシステムです。
遠心の伸びとマグネットの安定感のいいとこ取りをうたっています。
ただし、飛距離という面では、遠心ブレーキのみのシマノ、マグネットブレーキのダイワにどうしても劣ります。
ハイブリッドブレーキの設定方法
機種によって、内側のブレーキシューの数やマグネットのダイヤル数は違いますが、考え方は同じです。
中のブレーキシューを全てONにして、後は外部で調整します。
飛距離 |
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バックラッシュのしにくさ |
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設定のしやすさ |
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備考 | 基本外部ダイヤルだけで設定できますが、遠心同様、細かい設定をするときは、内部を開ける必要があるので、若干ストレスに感じる人もいるかもしれません。 ただし、主にハイブリッドを採用しているアブガルシアは、軽量でパーミングしやすいロープロファイル型のリールが多くあるので、ブレーキ以外の魅力が大きいかもしれません。 |
DC(電子制御)
シマノの1部の機種で採用されているブレーキシステムで、ブレーキの制御をデジタルコントロール(電子制御)で行う仕組みです。
コンピューターの演算能力の高さで、常に最適なブレーキを掛けるので、バックラッシュもほとんどなく、飛距離も1番出ます。
難点は、他のブレーキシステムを採用しているリール比べて値段が高めになること、リールの自重も重くなりやすいことです。
DCのブレーキ設定方法
内部の設定は、使用するラインと同じ設定にしてください。
ナイロンの場合は、N
フロロの場合は、F
PEの場合は、PE
外側のダイヤルは、3を基本にして、バイブレーションなど空気抵抗が少ないルアーは、2。
軽量なルアーや3でバックラッシュする場合は、4の設定。
オートのAは、バックラッシュは、まったくしませんが、その分飛距離もかなり落ちるので、あまり使用しません。
最初の練習用に使ってください。
飛距離 |
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バックラッシュのしにくさ |
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設定のしやすさ |
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備考 | 全てにおいて、最高クラスです。 内部は、ラインを変更した時に開けるくらいなので、釣りの最中に開けることは、まずありません。 外部もA(オート)含めて、5段階だけなので、細かい設定なし、飛距離とバックラッシュのしにくさを両立できます。 唯一の難点は、価格が高めになる事です。 |
飛距離アップをしたい
ベイトリールに慣れてくると必ず思うことがあります。
もっと遠くへ飛ばしたい
後5m先のポイントに届けば釣れそうなのに。。。こんなことがよくあります。
そうでなくても、遠くへ飛ばすのは気持ちいいものです。
そんなもっと飛距離が欲しいと思っている方へ、その方法を紹介します。
ブレーキ設定の見直し
まずは、ブレーキ設定を見直してください。
今の設定で、全然バックラッシュしないなら、外側のブレーキシステムを弱めてみてください。
ブレーキを強めに設定してる方は、これだけでも+5m行くこともあります。
投げやすい(ルアーに合った)ロッドを選ぶ
例えば、約7gのシャッドを、ヘビーアクションのロッドで投げても飛距離はあまりでません。
3/4oz(約21g)のスピナーベイトをミディアムライトのロッドで投げても同様に思ったような飛距離はでません。
タックルには、バランスがあって、ルアーに合わせたロッドを選ぶのは重要です。
10g前後のルアーには、M(ミディアム)
10以上のルアーがメインなら、MH(ミディアムヘビー)
10以下のルアーがメインなら、ML(ミディアムライト)
これを基準にロッドを選べば、大分投げやすくなります。
よくわからないときは、比較的オールラウンドに使える、6.6フィート~7フィートくらいのMアクションのロッドを選びましょう。
飛距離が出るベイトリールを選ぶ
飛距離が出るリールを選ぶ。。。シンプルですが、効果的な方法です。
飛距離を売りにしているリールが各メーカーから出ているので、素直にそれを使用するのが、1つの近道です。
シマノ派なら、DC系のリールまたは、アンタレス
ダイワ派なら、HLC(ハイパーロングキャスト)系リール
シマノ アンタレスDC
飛距離と言えばアンタレス。
夢の100m越えも夢じゃないリールです。
シマノ 17スコーピオンDC
DCブレーキをお手頃な価格で体験できる、高コスパの大人気リールです。
詳細なインプレはこちら↓
ダイワ ジリオン TW HLC
ダイワのHLCは、上手い人が使うとDCよりも飛ぶそうです。
マニュアル派の人はHLCがおすすめ。
カスタムパーツに変更する
新しい飛距離が出るリールが欲しいけど、予算が厳しい。。。
そんなときは、カスタムパーツがおすすめです。
ベアリングやスプールをカスタムパーツに変更すると驚くほど、使いやすくなったり、飛距離が伸びたりします。
一昔前のリールが最新のリールに負けないくらい。
ヘッジホッグスタジオは、品揃えが日本最大級で、パーツの交換方法も細かく書いてあるので、カスタム初心者にもやさしいのでおススメです。
ラインを変える
ラインは細い方が飛距離は出ます。
ただし、細くすれば、その分、ラインブレイクしやすくなるので、諸刃の剣です。
ポンド数を落とさなくても、フロロ→ナイロンに変えるだけでも飛距離は伸びるので検討の余地はあります。
自分に合ったキャスティングフォームを身につける
プロのキャスティングフォームを見ても皆それぞれ違います。
共通してるのは、正確なキャストをしてるということです。
人それぞれ、関節の柔らかさやリストの強さが異なるので、単純な真似はできないですが、村田基さんのキャスティングフォームは、美しいし、説明も上手です。
また、フォーム以外にも、しっかりロッドにルアーの重さを乗せて投げるタイプ。
ロッドのヘッドスピードで弾く様に投げるタイプ、それぞれ違います。
自分に合ったフォームを見つけて、飛距離を伸ばしましょう。
あとがき
ベイトリールは、どんどん高性能化されていて、ちゃんとしたブレーキ設定とロッド、ルアー選べばば、バックラッシュはほぼしなくなっています。
ブレーキ設定の基本を覚えて、少しずつでも正確なキャストと飛距離アップができるといいですね。
上手くなれば、村田基さんのように100m越えも夢じゃないかもしれません。